奇跡の脳  ~脳科学者の脳が壊れたとき~

著者:ジル・ボルト・テイラー (著)/竹内 薫 (翻訳)
出版社:新潮社

脳の機能が失われていく―――
テイラー博士を突然襲った脳卒中は、刻一刻と彼女の左脳の機能を奪い、電話で助けを求めることはおろか、まともに手を動かすことも喋ることすらもできなくなっていきます。しかし、博士は奇跡的に生還し、そして、後遺症を克服し、再び第一線で活躍するまでに回復していきます。

昼と夜が交差する夕暮れのように、
時間と空間の感覚は失われ、右脳がもたらす不思議な安堵感に包まれていく博士。自分が切り取られていくような恐怖と焦燥感を感じつつ、それでも、脳科学者としての自分を取り戻すために、気丈にもこの体験を記憶に留めようと試みます―――

実体験を内側から綴ったこの著書は、専門家が機能障害をリアルタイムで体験した実話としてあまりにも有名な一冊です。本書は科学書であり、科学者の自伝であると博士は著書で述べていますが、暗闇のなか星空に包まれ、自然と自分との境界線がなくなっていくような感覚と、博士の美しい想像力が同時に味わえる小説のような一冊だと思います。

左脳と右脳が織りなす奇跡の体験をしてみたいという方に、本書をぜひ手に取っていただけたら嬉しく思います。
ありがとうございました。
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